2016年11月22日

『星々たち』

『星々たち』

星々たち    桜木紫乃

奔放な実の母親とも、二度目の結婚でさずかった実の娘とも生き別れ、
昭和から平成へと移りゆく時代に北の大地を彷徨った、塚本千春という女。
その数奇な生と性、千春とかかわった人々の哀歓を、研ぎ澄まされた筆致で
浮き彫りにする九つの物語。桜木紫乃の真骨頂がここにある!

【目次】
■ひとりワルツ
つとめ先のスナックに時折現れる優男・ヤマさんに、咲子はひそかに思いを寄せている。
中学生になった娘の千春と再会を控えた咲子を、ヤマさんはデートに誘う。

■渚のひと
医大に通う息子が帰省する。
久々に家族三人で囲む食卓の準備で内職を早めに切り上げた育子。
隣家の千春は、息子が卒業した高校の後輩にあたるのだが……

■隠れ家
ススキノの踊り子・麗香は、兄が帰ってきたら舞台を去ると決めていた。
その夜、8年ぶりに兄が姿を現した。

■月見坂
晴彦は高齢の母親と二人暮らしだ。
商品の苦情を述べた母への謝罪に訪れたスーパーの配達係の女性を見て、晴彦は……

■トリコロール
小さな港町で所帯を持って25年。桐子は夫とふたり、理髪店を営んでいる。
ひとり息子は家業を継がずに街をはなれている。

■逃げてきました
市役所勤務のかたわら、詩作をつづけてきた巴五郎。
彼が主宰する詩作教室に、塚本千春という30代の女が入会してきた。

■冬向日葵
罪を犯し、逃げ続けて何年になるだろう――。
能登忠治が道北の小さな一杯飲み屋の女将、咲子と暮らして8年が過ぎた。

■案山子
東京から北海道・十勝に移住、独りで野中の一軒家に暮らす
元編集者・河野保徳の前に現れたのは……

■やや子
図書館司書の田上やや子は、交際半年の恋人に乞われ、彼の母親と会っている。
内心、彼と別れようと考えているやや子だったが……



ドラマ『氷の轍』が面白かったので、手にとった本。
同じく北海道を舞台に、母娘三代を描く。
暗い生い立ちを背負った三人、
その連鎖のまま、日陰の人生を歩む。
それでも輝く一瞬がある。という意味でのタイトルかな?
その輝きが一瞬なのをわかっていながらも、
満足というか幸せのようなものを感じているように見えた。
だから、氷の轍のようにいたたまれない気持ちにはならなかった。

連作もうまい。
どの話も引き込まれた。

面白かったので、しばらく桜木紫乃さん、読んでみよう。







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